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第41話|姉妹のシフト再編——寄り添い方を整えていく
「誰かがいる」が前提になってから
12月に入ってから、
母の生活は
常に誰かの手を必要とするようになりました。
一人で過ごす時間を
つくる、というよりも、
一人にしないことが
自然な前提になっていきました。
それは急に決めたことではなく、
日々の様子を見ながら、
「このままでは難しいね」と
静かに共有された感覚でした。
姉妹で、改めて動きを確認する
私たちは、
姉妹で一度立ち止まり、
それぞれの動きを見直すことにしました。
誰が、いつ来られるか。
どの時間帯が一番手薄になるか。
夜はどうするか。
以前のように
「できる人ができるときに」では
追いつかなくなってきていました。
役割を固定する、
というよりも、
抜けが出ないように整える。
そのための確認でした。
無理のない形を探す
仕事の予定。
家庭の事情。
それぞれの体力。
一人ひとりが抱えているものを、
感情を交えずに、
一つずつ並べていきました。
「ここは私が行くね」
「この日はお願いできる?」
声の調子も、
言葉の選び方も、
できるだけ平らなままで。
特別な話し合いというより、
日常の延長にあるやりとりでした。
誰かが多く担っているとか、
誰かが足りていないとか、
そうした考えに傾かないように。
感じないようにするのではなく、
判断しないようにする。
その距離感を保ちながら、
静かに形を整えていきました。
支えることを、続けるために
在宅での生活は、
短距離走ではありません。
続けていくためには、
支える側が
消耗しすぎないことも
大切だと感じていました。
頑張りすぎない。
抱え込みすぎない。
そのために、
寄り添い方を整える。
それが、
この時期の私たちにとって
必要なことでした。
形が決まると、少し静かになる
シフトが整い、
動きが見えてくると、
不思議と気持ちも
少し落ち着いていきました。
「次は誰が来るか」が
分かっているだけで、
安心できる時間が生まれます。
母のそばにいること。
自分の生活に戻ること。
その行き来が、
ようやく
無理のない形になっていきました。
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